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~今日は何の日?~

1月6日 まくらの日

 1月6日はまくらの日。毎日使う生活の中でも身近な枕に日頃の感謝を込めて、また、その大切さを見直すきっかけになって欲しいという目的で、まくら株式会社が制定し、日本記念日協会が認定した。

 日付は、「枕」を英語にすると「pillow」と呼ぶことから、1を「ピ(ン)」と読み、6を「ロー」と読んで「ピロー」となる1月6日とした。またそれに加え、新年が明けてすぐのこの時期、初夢もそろそろ見る頃。新しい気持ちで「まくら」のことを思い出してくれればという思いも込められている。

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 枕とは、私たちが快適な睡眠を得るための基本的な寝具の一つです。そしてそれは、頭部を支え、体全体の姿勢を整え、睡眠時のリラクゼーションとリカバリーを促進します。ただし、枕の形状や材質は、地域や文化により大きく異なるのが特徴で、これは各地域や文化の特性や需要が反映されています。

 枕の起源は古代にまで遡ることができ、最初の形態はおそらく柔らかい物質や硬い物質を使用したものだったと考えられています。古代メソポタミアやバビロニア、アッシリア、フェニキア時代には、現代の枕のような寝具の使用が確認されています。この時代の人々は木材や石材を枕として使っており、特に高貴な人々の間では装飾的な枕が珍重されていました。

 中国では、工芸品としての枕が発達し、丹念に装飾された布製や陶磁器製の枕が人々に広まりました。これは、工芸技術の発達とともに枕の地位が向上し、枕が身体的な機能だけでなく、美的な価値も持つようになったからです。一方、中世ヨーロッパでは、藁を詰めた粗い布枕が広く用いられ、地域によっては骨や木、石に布を巻いたものが枕として使用されていました。これらは、それぞれの地域や社会の生活環境や生活様式が枕の形状や材質に影響を与えていた証拠と言えるでしょう。

 日本に目を向けると、古墳時代の被葬者には様々な材質の枕が用いられていたことが分かります。これらの枕文化は権力者の文化であり、死者に対する敬意や信仰を示すものでした。また、江戸時代以前の日本では、髷(まげ)の形を崩さないために特殊な形状の枕が使用されていました。これは日本独特の髪型が枕の形状に影響を与えた例で、文化的な要素が枕の進化に大きな役割を果たしたことを示しています。

 枕は単なる寝具以上の意味を持ちます。古来より、枕は生と死、魂の安らかさといった概念と密接に結びつけられてきました。これらは人間の精神的な側面を反映し、枕が私たちの生活において単なる機能的な存在以上のものであることを示しています。また、現代では、枕の形状や素材の選択が睡眠の質や身体の健康に大きく影響することが認識されています。人間の首や頭の形状は個々により大きく異なり、さらにマットレスや敷布団との相性もあるため、誰にでも合う万能の枕を見つけることは容易ではありません。

 以上のように、枕は単に頭部を支える寝具というだけでなく、文化や歴史、人間の健康や精神生活に深く結びついた存在であり、その形状や材質、使用法は地域や時代により大きく異なります。そしてそれは、私たちの生活や社会、文化の一部を映し出していると言えるでしょう。

枕