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~今日は何の日?~

1月11日 樽酒の日

 1月11日は樽酒(たるざけ)の日。「樽酒の鏡開き」という文化を次の世代に伝えていきたいという思いから、奈良県の醸造元である長龍(ちょうりょう)酒造株式会社が制定し、日本記念日協会が認定した。日付は、年中行事である「鏡開き」の日と同じ1月11日とした。

樽酒

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 樽酒とは、その名の通り樽で熟成された日本酒のことを指します。その起源は古く、日本酒がまだすべて杉樽で育ち、樽で運ばれ、樽で売られていた時代に遡ります。当時の日本酒はすべて樽香を帯びた特徴的な香りと味わいを持つものでした。しかし、現代の日本酒は一升瓶をはじめとする瓶入りが主流となり、樽の香りが消失しました。杉樽は高価で大量生産には不向きであり、温度管理や清掃が困難などの理由から、逐次的に瓶詰めが普及しました。

 しかし、その古き良き時代の香りと味わいを追求する者たちの中に樽酒が再び脚光を浴びる時が訪れました。樽酒とは具体的には、「木製の樽で貯蔵し、木香がついた清酒」を指します。日本酒を杉の樽で寝かせることで、樽の材料である吉野杉の木のさわやかな香りや成分がお酒に移り、もともとのお酒の美味しさを更に引き立てるのです。この樽の力が、美味しい日本酒をさらに美味しく進化させるのです。

 樽酒の特長はその香りにあります。杉の樽から発生する爽やかな木香と、日本酒特有の芳醇な香りが組み合わさり、爽快でありながらも濃厚な独自の芳香を醸し出します。また、樽の中で時間をかけて熟成することで、お酒はよりまろやかで口当たりの良い味わいになります。この樽酒特有の絶妙なバランスは、「樽酒でしか」味わうことができない極上の美味しさです。

 樽酒はさらに二つの形態に分けることができます。一つは木の樽に詰めたまま出荷される「樽詰酒」、もう一つは樽からビンに詰め替えられた「樽酒びん詰」です。疑問に思うかもしれませんが、「樽酒なのにビン詰め?」と。ですが、これは本物の杉樽で熟成し、清々しい香りをつけたお酒を、樽そのままでも、ビンに詰めても味わうことができるからです。その多彩なバリエーションと独特の旨味がさまざまなジャンルの料理と調和し、毎日の家庭料理との相性も良いことから、樽酒はお家で楽しむのに最適なお酒と言えます。

 最後に、樽酒が持つユニークな風味と独特の体験は、日本酒の魅力を新たな視点から伝える素晴らしい入門となります。日本酒通から初心者まで、その香りを楽しみながら樽酒を飲むという贅沢な体験は、その深い味わいと共に日本酒の新たな可能性を見つめるきっかけになることでしょう。

現在、お酒の貯蔵はタンクで行いますが、昔は杉の樽で保存されていました。そのお酒は、杉の芳香がお酒にうつり、爽やかな香りがしていました。現在では、木樽で短時間貯蔵し、軽く木の香りを付けたものがほとんどですが、そういった木の香りをするお酒を樽酒といいます。販売時に樽で売られているかどうかは関係ありません。

樽酒

(樽酒の)鏡開き

 祝いの宴で、酒樽の蓋を木槌で割って開封すること。この名前は、酒屋では酒樽の上蓋のことを鏡と呼んでいたことに由来し、「良いことがあったから」あるいは「良いことがありますように」という思いで樽の酒を飲みかわすという文化のこと。

記念日とかいろいろ

お酒の記念日