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~今日は何の日?~

1月20日 インクルーシブを考える日

 1月20日はインクルーシブを考える日。記念日を通じて障害者の社会への完全参加と平等を考えてもらおうと、特別支援学校高等部などを卒業した後の学びの場として各地で「カレッジ」を運営する福岡県の株式会社ゆたかカレッジが制定し、日本記念日協会が認定した。

 日付は、国連総会で採択された障害者権利条約に日本の批准が承認された日(2014年1月20日)にちなんで、1月20日とした。

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 「インクルーシブ」とは、言葉自体が持つ「包摂的な、すべてを包み込む」という意味から、多様な背景や特性を持つ個々人が社会の一部となり、その違いを尊重され、社会全体で共有される価値を享受できるような環境を指します。これは、排他的な考え方である「エクスクルーシブ」の反対概念となり、人々が対等に関与し、相互に学びあう社会を目指します。

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 インクルーシブの概念は1970年代のフランスで誕生し、不況や移民問題による社会的排除の問題に対抗するための理念として発展してきました。そして、この理念は1980年代にアメリカにおいて主に障害児教育の分野で用いられるようになり、全ての子供が同等の教育機会を享受することを目指した「インクルーシブ教育」という考え方が広まりました。

 現在では、社会の中で様々な立場や背景を持つ人々が一緒に働き、生活することが当たり前となりつつある中で、インクルーシブの考え方はますます重要性を増しています。特にビジネスの世界では「ダイバーシティ&インクルージョン」(D&I)という概念が広く認識され、企業が様々な背景を持つ人材を活用し、新たな価値を生み出すための基本理念として注目を集めています。

 日本でも、労働人口の減少や価値観の多様化を背景に、D&Iの重要性が認識されつつあります。また、教育現場でも、障がいの有無、国籍、言語、性別などによる違いを認め、共に学び育つ「インクルーシブ教育」が求められています。これらの動きは、社会全体として様々な違いを包摂し、共に成長することの大切さを示しています。

 私たち一人ひとりが違いを認め、互いを尊重し、全員が参加できる社会を目指すというのがインクルーシブの理念です。この考え方は、個々の能力を最大限に発揮し、社会全体の発展に貢献するために必要不可欠なものと言えるでしょう。