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2月10日 簿記の日

 2月10日は簿記の日。簿記の大切さを知ってもらうために、公益社団法人全国経理教育協会が制定し、日本記念日協会が認定した。

 日付は、簿記の原点である福沢諭吉の訳本「帳合之法」が1873年2月10日に慶応義塾出版局から発行されたことから、2月10日とした。

簿記の豆知識

 簿記とは、お金や物の出入りを記録する方法のことで、帳簿記入の略。企業などの一定期日の財政状態や経営状態をはっきりさせることを目的としている。簿記の表記方法には、資金の収支を重視する単式簿記と、資金の収支に限らず全体的な財産の状態と損益の状態を把握できる複式簿記の2種類があり、「簿記」と言えば普通は複式簿記を指す。

 専門知識を必要としない単式簿記は、家計簿などに使われている。

 単式簿記の歴史は古く、国家が成立し始めた紀元前4000年頃から行われている。それに対して複式簿記は、14世紀から15世紀にヴェネツィアで生まれたと言われている。

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 簿記は、貨幣経済の誕生と発展とともに生まれ、貨幣の量や取引の勘定・記録を管理するための技術や方法論として発展してきました。古代のローマ、ギリシャ、バビロニア、アッシリア、エジプトなど多くの文明において、簿記の存在が確認されています。しかし、この時期の簿記は、現代の複式簿記とは異なり、単式簿記として行われていました。

 14世紀から15世紀のルネサンス期に、ヴェネツィア商人により複式簿記が発明され、その技術はイタリア人数学者ルカ・パチョーリの著書『スムマ』を通じてヨーロッパ全土に広まりました。この書物は、組織的に行われる複式簿記の方法を詳細に解説しており、その後の簿記の発展における基石となりました。

 複式簿記は、取引の両側面、つまり収入と支出を同時に記録する方法で、これにより会計の正確性が向上しました。このシステムの美しさと効率性は、文豪ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテに「人間の精神が生んだ最も美しいものの1つ」と称賛されるほどでした。

 日本においては、明治時代に西洋の簿記技術が導入され、福沢諭吉や加藤斌などの先駆者たちが、簿記に関する書籍を出版しました。これにより、日本の商業や経済活動の中で簿記の技術が広まり、組織的な簿記教育も始まったのです。

 現代においては、簿記はビジネスの基本として広く認識されており、多くの企業や組織で使用されています。正確な簿記は、経済活動の透明性を保ち、企業の健全な経営を支える重要な役割を果たしています。私たちの生活や社会全体の発展において、簿記の重要性は計り知れないものがあります。