カレンダーをめくってみれば
~今日は何の日?~

3月9日 試薬の日

 3月9日は試薬の日。試薬が、化学、生物、材料、臨床検査、環境分析など広い分野において用いられ、科学技術の振興などに役立っていることを広く知らせるという目的で、一般社団法人日本試薬協会が制定し、日本記念日協会が認定した。

 日付は、日本で初めて「試薬」という言葉を使った津山藩医の幕末の蘭学者・宇田川榕菴(うだがわ ようあん)の生誕日が1798年3月9日であることから、3月9日とした。

試薬とは

 試薬とは、分析や合成などの化学的な実験に用いる比較的純度の高い化学薬品。特定の物質の検出・分析にも用いられる。
 「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」では、「化学的方法による物質の検出もしくは定量、物質の合成の実験または物理的特性の測定のために使用される化学物質」と定義されている。

◆◆◆

 試薬は、化学的手法を用いて物質の検出、定量、物質の合成実験、物理的特性の測定などに使われる特定の化学物質を指します。法的には「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」に基づいて、一般の化学物質とは異なる取り扱いがされています。試薬は、その名の通り、ある物質を「試す」ための薬品であり、その品質や使用量、供給形態などが一般の工業薬品とは異なります。

 試薬の概念を更に拡大して考えると、それは「検査、試験、研究、実験といった試験・研究的な場面で、物質の検出・確認、定量、分離・精製、合成実験、物性測定などに使用され、その特定の目的に応じて品質が保証され、少量使用に適した供給形態の化学薬品」と定義することができます。英語では「Analytical Reagents」や「Reagent Chemicals」、「Laboratory Chemicals」といった言葉で表現され、医薬品との明確な区別として「not for drug use」という表示が多く見られます。

 試薬の歴史は非常に古く、日本においては宇田川榕菴が初めて「試薬」という名称を使ったとされています。彼の著書「舎密試薬編」には、多くの試薬の製造方法が掲載されており、これが試薬の先駆けとされています。また、彼の別の著書「舎密開宗」には、現在の試薬のJISで使用されている塩化物や硫酸塩の検出方法と同じ原理の手法が記載されており、これにより、試薬が100年以上の歴史を持つことがわかります。このような背景を持つ試薬は、科学の発展に欠かせない存在として、現代の研究や実験の場で広く利用されています。