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4月28日 溶射の日

 4月28日は溶射の日。溶射技術をアピールをすることで、溶射という素晴らしい技術を多くの人に知ってもらい、業界と社会の発展、繁栄に繋げようと、日本溶射工業会が制定し、日本記念日協会が認定した。

 日付は、イスのマックス・ウルリッヒ・ショープ博士が世界で初めて溶射の発明(金属溶射プロセスの基本特許)をドイツにて登録した日(1909年4月28日)にちなんで、4月28日とした。

溶射

 溶射表面改質技術の1つで、材料表面の高性能化を目的として応用されている。

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 溶射技術は、加熱により溶融またはそれに近い状態にした粒子を物体表面に吹き付けて皮膜を形成する、先進的な表面処理法の一つです。この方法では、溶射材と呼ばれる材料を熱源(燃焼炎やプラズマなど)を使って加熱し、液滴化された材料を高速ガス流などを通じて処理対象である基材表面に吹き付けます。このプロセスにより、溶射粒子は基材表面で凝固し、密着することで皮膜を形成します。溶射技術は、基材への熱的影響が少なく、幅広い材料選択と対象物への応用が可能という特長を持っています。

 溶射の利点は多岐にわたります。まず、ニーズに応じた皮膜設計が可能であり、寿命延長によるメンテナンス費用の低減、部材のリサイクル化を通じた再生補修技術の実現が挙げられます。溶射法によっては、無気孔の皮膜形成が可能であり、皮膜内に生じる気孔は熱衝撃の緩和や含油潤滑性を発揮します。

 さらに、鉄鋼・非鉄金属・セラミックス・プラスチックスなど、多岐にわたる基材への加工が可能であり、部品の必要範囲だけに部分加工ができるという利点もあります。加工物の寸法にほとんど制約がなく、現地での施工が可能であるため、航空機部品の補修再生には不可欠な技術として、ジェットエンジン部品のオーバーホールマニュアルにも採用されています。

 溶射法は、基材に対して熱影響による変形がないこと、水素脆性の危険がないことなど、他の表面処理技術と比較しても優れた特性を有しています。皮膜表面は滑り止め粗面から鏡面仕上げまで、ニーズに応じた精度で仕上げることができ、この技術の応用範囲は非常に広いです。

 溶射技術は、その多様な応用可能性、高い柔軟性、そしてコストパフォーマンスの高さから、産業界における重要な技術として位置づけられています。これからも多くの分野でのイノベーションを推進し、製品の耐久性向上や機能性の拡張に貢献していくことが期待されています。