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6月4日 虫の日

虫の日
引用元:隈研吾建築都市設計事務所

 6月4日は虫の日。幼少期より昆虫採集を趣味としてきた解剖学者の養老孟司氏が制定し、日本記念日協会が認定した。

 日付は、(64)」の語呂合わせから、6月4日とした。

 長年にわたり自然や命について考えてきた養老氏は虫にも供養が大切と神奈川県鎌倉市の建長寺に「虫塚」を建立。毎年、多くの昆虫採集家が集い法要を行っている。

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 建長寺の境内に設置された「虫塚」は、昆虫を供養し、生命の大切さを訪れる人々に伝えるためのモニュメントです。このプロジェクトは、解剖学者であり昆虫収集家でもある養老孟司氏の発案によるもので、隈研吾氏が設計を手がけました。昆虫の標本として収集されたゾウムシのオブジェを中心に、虫籠をイメージしたステンレスメッシュ製のケースがスパイラル状に積み重ねられています。さらに、左官職人挾土秀平氏により、ガラス繊維を混ぜた現地の土が吹き付けられ、透明感がありながら温かみのある質感を実現しています。

 虫塚は、害虫が多発した際の供養、虫送りの祈祷所としての役割、趣味や職業上で多量に殺虫した虫の供養、特殊昆虫やその発生地を記念するためのもの、さらに昆虫に関する歌碑や句碑を虫塚と呼ぶこともあるなど、様々な動機で建立されることがあります。例えば、佐賀市嘉瀬町にある貞享2年(1685)の虫供養塔や、福井県小浜市にある明和9年(1772)の漸得塚(善徳塚)、石川県小松市の天保10年(1839)の虫塚などが有名です。

 このように、虫塚は昆虫への感謝と供養の心を形にしたものであり、自然との共生や生命への畏敬の念を示す文化的な象徴とも言えます。鎌倉の建長寺に設置された虫塚は、昆虫と人間との関わりを改めて考えさせる、ユニークで意義深いモニュメントであり、訪れる人々に昆虫と自然界への理解と尊敬の心を促す役割を担っています。