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~今日は何の日?~

6月30日 酒酵母の日

 6月30日は酒酵母の日。清酒業界全体で日本酒づくりの発酵に欠かせない酒酵母の働きに感謝し、また来年も美味しいお酒ができるようにと願い供養する日とするため、岐阜県飛騨市で清酒の製造販売を手掛ける有限会社渡辺酒造店が制定し、日本記念日協会が認定した。

 日付は、酒造年度の最終日である6月30日とした。

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 酒酵母は、日本酒製造において不可欠な微生物であり、主に「清酒酵母」として知られています。清酒酵母は、アルコール発酵を促進し、日本酒特有の豊かな香りを生み出す役割を持っています。酵母は自然界に広く存在し、特定の条件下で糖分をアルコールと炭酸ガスに変える生物学的作用を持ちます。このプロセスが、日本酒をはじめとする多くの発酵食品の生産において中心的な役割を果たしています。

 日本酒造りにおける酵母の主なはたらきは、大きく分けて二つあります。第一に、「アルコール発酵」により、酒米から得られる糖分をアルコールへと変換します。この過程は、酒造りの基本であり、酵母がなければアルコール飲料を生産することはできません。第二に、酵母は「香りの素」を生み出します。発酵過程で酵母が生成する様々な化合物が、日本酒の独特なフルーティな香りの源となります。例えば、カプロン酸エチルや酢酸イソアミルなどは、リンゴやバナナの香りに近い成分であり、これらが日本酒の複雑で豊かな香りを形成しています。

 清酒酵母には、「きょうかい酵母」と「蔵つき酵母」の二種類があります。きょうかい酵母は、日本醸造協会によって管理され、安定した品質と特性を持つ純粋培養酵母です。これに対し、蔵つき酵母は、各酒蔵独自の環境に適応した酵母で、その酒蔵特有の味わいや香りを生み出します。きょうかい酵母は、酒造りの安定化と品質向上を目的として開発され、多くの酒蔵で利用されています。主なきょうかい酵母としては、6号酵母(秋田の新政酒造から分離)、7号酵母(長野の宮坂醸造から分離)、9号酵母(熊本の酒造研究所から分離)などがあり、それぞれが異なる特徴を持ち、日本酒の多様な味わいを生み出しています。

 日本酒造りにおける酵母の選択は、最終的な日本酒の風味や香り、アルコール度数に大きな影響を与えます。酵母によって生み出される独特の香りは、吟醸酒などの高級酒の特徴ともなってお り、酒造りの工程や酵母の種類によって、幅広い味わいの日本酒が生産されています。清酒酵母の研究と開発は、今後も日本酒の品質向上と多様化に貢献し続けるでしょう。このように、微生物の一つである酵母が、日本酒の世界を豊かに彩っているのです。

酒造年度

 醸造年度ともいう。日本の酒造業界・醸造業界における区切りのことで、この業界では7月1日から翌年6月30日を一年度としている。

記念日とかいろいろ

お酒の記念日