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6月11日 傘の日

傘の日

 6月11日は傘の日。1989年に日本洋傘振興協議会が制定した。

 日付は、入梅の日である、6月11日とした。

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 洋傘は、日本において西洋文化の象徴として受け入れられ、特に明治時代に西洋文明の導入と共に普及したアイテムです。当初は高価な輸入品であり、主に上流階級や特定の専門職の人々によって使われていましたが、時代が進むにつれて国産化が進み、広く一般の人々にも普及していきました。

 洋傘の登場は、日本の社会や文化において重要な意味を持ちます。もともと江戸時代後期には既に「黄どんす傘」として記録されているなど、その存在自体は古くから知られていましたが、本格的に国内に持ち込まれ、使用されるようになったのは幕末から明治時代にかけてです。特にペリー来航時やその後の日米和親条約締結の際に洋傘が多くの日本人の目に触れ、西洋文化の一端として関心を集めました。

 洋傘の国産化については、1881年に東京本所に洋傘製造会社が設立されたことが一つの節目とされています。これにより、国内での洋傘生産の基盤が築かれ、明治中期には純国産の洋傘が製造されるようになりました。鹿鳴館時代の欧風文化の流行とともに洋傘は一般にも広く普及し、次第に日本の生活文化の一部として定着していきました。

 洋傘は、その機能性だけでなく、ファッションアイテムとしての側面も持っています。開いた時の光の透過性や、内側の色合いによって持つ人のイメージを左右し、着物姿に洋傘を合わせることで新たなファッションスタイルを生み出すなど、多方面にわたって影響を与えています。また、洋傘の選び方一つをとっても、その人のセンスや個性を反映するアイテムとして、日々のコーディネートにおいて重要な役割を果たしています。

 洋傘はただ雨をしのぐ道具にとどまらず、日本の近代化と共に歩んできた歴史があり、その形状やデザインの多様性は、時代ごとの文化や技術の変遷を映し出しています。現代では、さまざまな素材やデザインの洋傘が登場しており、機能性やデザイン性を追求した製品が多くの人々に愛用されています。