9月29日 接着の日
9月29日は接着の日。多くの消費者、取引先企業、会員企業などに、接着剤の持つ優れた機能、接着技術、役割などを知ってもらい、正しい情報の提供と接着剤業界の活性化を目的に、日本接着剤工業会が制定し、日本記念日協会が認定した。
日付は、「
日本接着剤工業会では「人と人とをくっつける。人と暮らしをくっつける」をホームページで掲げている。
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接着剤の使用と発展は、古代から現代に至るまで、人類の生活と技術進化において重要な役割を果たしてきました。最初に使われたのは自然由来の材料で、例えば石器時代には天然アスファルトが矢じりを固定するために用いられ、古代文明ではニカワや植物の樹液が接着材として活用されていました。
19世紀末から20世紀初頭にかけて化学技術の進展とともに、合成接着剤が開発され始めました。合成接着剤の歴史は、1882年にA・V・バイヤーによるフェノールとホルマリンの反応による樹脂発見から始まります。その後、レオ・H・ベークランドによって工業化されたフェノール樹脂(ベークライト)は、接着剤としてだけでなく、電話やラジオなどの電子部品や日用品にも広く使われました。
その後も、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂など、様々な種類の合成樹脂が開発され、接着剤の素材として利用されるようになりました。これらは家庭用接着剤から産業用接着剤まで幅広い用途で使われており、特にエポキシ樹脂接着剤やシアノアクリレート(瞬間接着剤)、ポリビニルアルコール接着剤などは現代でも広く使われています。
接着剤は単に物をくっつけるだけでなく、材料の性質を活かして製品の耐久性を向上させたり、製造プロセスを効率化したりするためにも重要です。例えば、自動車産業では軽量化を実現するために金属部品を接着剤で組み合わせたり、電子機器の組み立てには高精度で耐熱性の高い接着剤が要求されます。
現代社会では、接着剤の技術がさらに進化し続けており、環境に配慮した接着剤の開発や、より特化した機能を持つ接着剤へのニーズが高まっています。これからも接着剤は多様な分野でのイノベーションを支え、私たちの生活を豊かにするために欠かせない存在であり続けるでしょう。