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8月10日 服部植物研究所・コケの日

服部植物研究所・コケの日

 8月10日は服部植物研究所・コケの日。より多くの人にコケに関心を持ってもらい、蘚苔類学の普及と発展の願って、宮崎県日南市のコケ専門研究機関・公益財団法人服部植物研究所が制定し、日本記念日協会が認定した。

 日付は、研究所を設立した初代所長の服部新佐博士の誕生日(1915年8月10日)と、二代目所長の岩月善之助博士の誕生日(1929年8月10日)から、8月10日とした。

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 苔(コケ)植物は、植物分類上「蘚類(せんるい)」とも呼ばれ、シダ植物や緑藻類の中間に位置する古代から存在する一群の植物です。これらは陸上で生活する最初の植物群とされ、現代でもその基本的な生態系において重要な役割を果たしています。

 コケ植物は体が低く、根・茎・葉の区別がはっきりしていないのが特徴です。これらの植物は、水や養分を体全体の表面から吸収します。維管束がないため、高い地上へ水分を運ぶ能力には限界があり、湿った環境で生育することが多いです。仮根と呼ばれる根のような構造はあるものの、これは主に体を支える役割を果たし、吸収能力は限定的です。

 コケ植物は主にスギゴケ類、ゼニゴケ類、ツノゴケ類の三つの綱に分類されます。スギゴケ類は地面に密着して生育し、ゼニゴケ類は地面をはうように広がり、その葉は全体が葉のような形をしています。ツノゴケ類は葉状体で、より複雑な形状をしており、地上を這うように広がります。

 コケ植物は、その小さな体からは想像もつかないほど多様な生態系を支える基盤となっています。これらは土壌の保水や浸食防止に寄与し、また多くの小動物や微生物の生息地を提供しています。そのため、コケ植物は自然環境だけでなく、都市部の環境保全においても重要な役割を果たしています。

服部植物研究所

 1946年(昭和21年)に設立された世界で唯一の蘚苔類(せんたいるい)専門の研究機関。十数名の研究員が在籍し、研究にともなう関連資料の収集・整理および研究成果の出版をしている。また、約48万点の標本を所蔵し、国内外の研究者に貸出を行っている。

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