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6月28日 貿易記念日

 6月28日は貿易記念日。1859年5月28日(太陽暦では6月28日)、徳川幕府がアメリカ、イギリス、フランス、ロシア、オランダの5か国との間に結んだ友好通商条約に基づき、横浜、長崎、箱館(函館)の各港で自由貿易の開始を布告した。これを記念して、1963年(昭和38年)に通商産業省(現在の経済産業省)が制定した。

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 安政五カ国条約は、幕末の動乱期において、日本が西洋の列強との間に締結した一連の不平等条約の総称です。1858年、当時の政権であった江戸幕府がアメリカ合衆国、オランダ、ロシア帝国、イギリス、フランスの5カ国とそれぞれ条約を結びました。この時期は、日本が鎖国政策を終え、国際社会へと開かれ始めた過渡期にあたりますが、その過程は平穏なものではありませんでした。

 条約の内容は、自由貿易の促進を主眼に置いており、特に日米修好通商条約を皮切りに、各国との間で似たような内容の条約が結ばれました。しかし、これらの条約は勅許(天皇の許可)を得ずに調印されたため、「安政の仮条約」とも呼ばれ、後に多くの政治的混乱を引き起こす原因となりました。特に、幕府が朝廷の意向を無視して条約を結んだことは、公武(朝廷と幕府)間の緊張を高め、最終的には安政の大獄や桜田門外の変(井伊直弼の暗殺)などの悲劇を招くことになります。

 条約内容の中でも、領事裁判権の認定や関税自主権の欠如、片務的最恵国待遇などは、日本にとって不平等なものでした。これらは、日本が自らの法律で自国民を裁く権利を持たず、外国人に対しては外国の領事が裁判を行う「領事裁判権」、貿易において関税率を自国で決定できない「関税自主権の欠如」、他国に与えた最も有利な待遇を自動的に他の条約国にも適用する「最恵国待遇」という、国家の主権を大きく損なう内容でした。

 後に明治維新を迎えることになる日本ですが、安政五カ国条約を含む不平等条約の存在は、新政府にとって大きな課題の一つとなりました。これらの条約を改正し、国家の主権を回復することは、明治政府が直面した重要な外交政策の目標の一つでした。結果として、長い交渉と努力を経て、日本は次第にこれらの不平等条約を改正し、国際社会での独立した地位を確立していくことになります。

 安政五カ国条約は、日本が近代国家へと歩みを進める上での重要な転換点であり、その後の日本の国際関係における基盤を形成しました。不平等であったとはいえ、これらの条約を通じて西洋の技術や文化が導入され、日本の近代化に不可欠な役割を果たしたのです。この歴史的経緯を振り返ることは、日本がどのようにして国際社会での自立を達成し、現在の地位を築き上げたかを理解する上で非常に貴重です。

記念日とかいろいろ

省庁などが作った記念日